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女性活躍推進法について解説|女性活躍推進法を推進する理由とは?

女性活躍推進法について

女性活躍推進法は2016年4月に施行された法律で、正式名称は「女性の職業生活における活躍の推進に関する法律」といいます。

この法律は、職場での活躍を願う女性を応援する内容であり、個性と能力を十分に発揮できる労働環境整備を目的として制定されました。

女性が働きやすい環境を整えることで優秀な人材が集まりやすくなるほか、企業のイメージアップにもつながるなどのメリットが得られます。

企業規模にかかわらず、女性が活躍できる環境整備が求められています。

女性活躍推進法を推進する理由6つ

過去に遡ると、1986年に施行された男女雇用機会均等法により性別を理由にした不利益を与えることを禁じたほか、看護休暇、年次有給制度及びノー残業デーなど多数の施策が実施されました。

その結果、女性の就業率は上昇したものの、女性管理職割合の伸び悩みなど抜本的な解決には至っていません。

この状況を改善するには、輝きを求める女性に対して更なる支援が必要であることから女性活躍推進法を推進する運びとなりました。

女性活躍推進法を推進する具体的理由を6つ紹介します。自社の取り組み状況と照らし合わせてご覧ください。

女性活躍推進法を推進する理由1:就業希望の女性のため

総務省統計局による2019年労働力調査によると、15~64歳の女性就業率は「70.9%」と発表されています。なお、同年代の男性就業率は84.2%です。

10年前と比較すると就業率は11.1%増加していることから、女性の社会進出が加速していることが分かりますが、女性に関しては就業率の半数以上が非正規社員であることが課題として認識されています。

こうした状況から、正規社員を中心とした就業率増加により女性が能力を発揮できる環境を整備するためにも女性活躍推進法の推進が期待されています。

労働力調査(基本集計)2019年(令和元年)平均(速報)結果の要約

女性活躍推進法を推進する理由2:グローバル化に対応する

世界各国の女性管理職割合は、フィリピン、アメリカ、オーストラリアの上位国は38%以上となっています。

一方、日本の割合は「14.9%」となっており、女性活躍の状況を他国と比較した場合は極めて低調な水準となっています。

2003年に内閣府が掲げた「2020年までに女性管理職割合を30%程度になるよう期待する」に対して大幅な遅れが生じていることからも、世界における日本の立場を示すために女性活躍推進法が推進されています。

就業者及び管理的職業従事者に占める女性の割合(国際比較)

女性活躍推進法を推進する理由3:労働不足の解消

日本の人口数は2008年の1億2,808万人を境に減少局面に突入し、現在から40年後の2060年には8,674万人に減少する見通しが立てられています。

また、65歳以上の人口割合が増加することで少子化及び高齢化社会に拍車がかかり、今後はさらなる労働人口減少が危惧されています。

人口減少が就業者減少につながり、経済成長の要素である労働投入が減少することで日本経済の悪化が懸念されます。

このような背景から、日本では女性が多く活躍することで就業者数を増やし、今後見込まれる人口減少への対応策として女性活躍推進法をすすめています。

人口減少の見通しとその影響

女性活躍推進法を推進する理由4:再就職する際に非正規雇用の場合が多いため

2018年の内閣府男女共同参画局の統計によると、第1子出産を機に46.9%の女性は休職ではなく離職を選択していることが分かります。

しかし、出産、育児の重責が一段落して再就職を希望するも、長期間のブランクを理由に非正規雇用としての採用が多いのが現状です。

このように、再就職時に正規雇用が困難である背景が社会における女性活躍の妨げとなっていることから、これまで以上に女性活躍推進法を発展させる必要があるのです。

(第1子出産前後の女性の継続就業率)

女性活躍推進法を推進する理由5:ハラスメントの対処

職場における重要課題の1つに「ハラスメント」があげられます。各種ハラスメントに悩むことで、本来の能力を発揮することが困難になります。

円滑で良好なコミュニケーションを保つためには、職場からハラスメントを排除しなくてはなりませんが、未だにハラスメントによる被害が後を絶ちません。

特にマタハラは女性特有のハラスメントであることからも、安心安全な職場環境づくりのために女性活躍推進法を推進することで排除しなくてはいけません。

女性活躍推進法を推進する理由6:人材の多様化に対応する

グローバル競争が激しくなることで顧客ニーズが多様化している中、新規ビジネスのアイデアや既存ビジネスの見直しをするためには、多様な人材確保により対応することが重要です。

女性活躍推進法の推進により、採用又は各役職登用に関して性別による差異をつけないことが大切です。

また、性別や人種の違いに限らず、年齢、性格、学歴、価値観などの多様性を受容することで、有能な人材発掘、斬新なアイデアによる新しいビジネスモデルの創出などに期待を持てます。

女性活躍推進法の企業へのメリット5つ

ここまでは、女性活躍推進法の概要と推進する理由について紹介しました。続いて、女性を採用することが企業にとってどのようなメリットをもたらすかについて説明します。

積極的に女性を採用すること及び多くの女性を管理職登用することで期待されるメリットは、女性だけではなく共に働く男性及び企業全体に好影響を及ぼすことです。

女性活躍推進法がもたらす企業への具体的メリットを5つ紹介します。

女性活躍推進法の企業へのメリット1:企業のイメージアップ

女性活躍推進法を積極的に活用することは、企業のイメージアップに結び付きます。

それは、従業員の女性比率が高く、出産や育児に対するサポート体制が構築されているうえ女性管理職割合も高い場合、就業希望者に対する絶好の企業PRとなることで、人材確保の観点において有利に働くからです。

先に述べたとおり、人口減少局面において人材確保はどの企業にとっても優先すべき事項なので、女性活躍推進法により企業イメージアップを図りましょう。

女性活躍推進法の企業へのメリット2:業務改善の期待

特に男性が中心となって業務運行されている企業においては、女性が積極的に参加することで業務改善に期待ができます。

女性を積極的に活用することで、男性とは異なるライフステージ(妊娠、出産、育児等)の経験を基に、女性ならではの視点による新しいアイデア創出が見込まれます。

これにより、多様化する社会において多角的なビジネスモデルの展開に寄与することとなります。

女性活躍推進法の企業へのメリット3:競合他社と比較が可能

女性活躍推進の進捗状況については、厚生省の「女性の活躍推進企業データベース」で各種情報が公開されています。

このデータベースには、採用者における女性割合、労働者に占める女性割合、育児休業取得率及び女性管理者割合等が掲載されています。

競合他社と比較することで、自社の強みと弱みを把握できます。

女性の活躍推進 データベース

女性活躍推進法の企業へのメリット4:優秀な人材の確保

企業が女性活躍推進法を推進することで得られるメリットとして「優秀な人材の確保」があげられます。

自社の女性活躍推進法の取り組み状況がデータベースにより広く公開されていることからも、取り組み状況が優良であることは求職者に対する大きなアピールポイントとなります。

その結果、多数の求人応募に期待できることで優秀な人材が集まりやすくなります。

女性活躍推進法の企業へのメリット5:定着率が上がる

女性は妊娠、出産、育児等のライフワークを経験することで、仕事を続けたい気持ちがあっても休まざるを得ない状況があり、第1子の出産を契機に多くの女性が離職しているのが現状です。

企業は想定されるライフイベントが到来した際、就業し続けることが可能な休暇制度や復職制度を設ける事で定着率をあげることが重要です。

女性活躍推進法を推進することは、有能な人材を引き留める手段であり、定着率が上がることで企業価値も上がります。

女性活躍推を妨げる課題

女性活躍推進法を進めるうえでの阻害要因について説明します。

推進を妨げる要因として育児と仕事の両立が困難であることや、男性中心の体制であることなどがあげられます。

それぞれについて説明しますので、自社の状況と照らし合わせてご覧ください。

育児と仕事を両立出来る環境が未完成

女性が社会で輝くための大きな課題は、育児と仕事を両立できる環境が未完成であることです。

多くの場合1日あたりの労働時間は8時間であり、通勤時間を含めた拘束時間は長時間となります。そのため、育児のための部分休業や特別休暇の制度が確立していない企業では、女性は長期間就業が困難になります。

男性中心の考え方

日本企業には現代においても男性中心の考え方が根強く残っており、長時間労働を是とする考え方、女性は補助的作業を担当するなどの状況が垣間見えます。

女性であることを理由に、職務内容を制限したり、昇進や管理職登用が見送られる企業風土が、女性活躍の推進を妨げています。

就業における女性への価値観は時代の流れと共に刻々と変化していることからも、男性中心の考え方に対して一石投じる必要があります。

女性管理職のロールモデルがいない

また、女性活躍推進を妨げる要因として、女性管理職のローカルモデルが不在であることもあげられます。

これは、女性活躍が進まないことで女性管理職が少数であることが起因となっています。結果として、昇進を望んでいても目指すべき理想像が不明確なため、志願者と人事担当者が昇進に対して不安を感じることで消極的になる場合があります。

日本の女性管理職割合は14.9%です。他国と比較すると低い水準であることが悪循環を生んでいます。

企業に求められる女性活躍推進法の取り組み

ここからは、企業に求められる女性活躍推進法の取り組みについて4点説明します。女性活躍推進法の名称だけは知っているが、具体的な取り組み方法が分からない方は参考にしてください。

企業が女性活躍推進法に取り組むことでメリットを得るには、女性活躍に関する状況把握、課題分析、行動計画の確定及び行動計画の提出があります。

女性活躍に関する状況の把握

企業が取り組むべき最初の項目は、女性活躍に関する状況の把握です。

具体的には、「採用した従業員に占める女性労働者の割合」「男女の平均継続勤務年数の差異」「労働者に占める女性労働者の割合」「管理職に占める女性労働者の割合」があげられます。

これらは、先に紹介した厚生省データベースに掲載される内容であり、誰もが見られる仕組みであることからも、特に進捗状況を気にする必要があります。

自社における女性活躍の状況を確認することで、自社の取り組み課題が見えてきます。

課題分析

自社における女性活躍の状況を把握した後は、自社の強みと弱みについて課題分析します。

ただし、どのような方法で分析したらよいのか不明な場合は、厚生省のホームページ「業種別「見える化」支援ツール」を参考にしてください。見える化ツールを活用することで、女性活躍推進における自社の課題を分析できます。

現状把握と課題分析により、次のステップである今後の行動計画策定につなげます。

ツールによる現状把握と課題分析

行動計画の確定

現状把握と課題結果を分析した後は、行動計画の確定をします。行動計画を策定する際は、計画期間、数値目標、取り組み内容、取り組みの実施時期について分けて考えることで分かりやすくなります。

計画期間とは、10年程度の長期目標の中に、2~5年程度の中期目標を折込み、PDCAサイクルにより評価反省の機会を複数回設けます。

数値目標は、複数の課題点の中から測定可能な最重要課題を選出します。数値で判断できることから達成状況が一目でわかります。

取り組み内容は、数値目標から導かれた課題点を優先的に実施するようにします。また、取り組みの実施時期には、能力開発に関する指導や教育研修の予定を立てます。

このように、女性が活躍する環境を整備するため、自社の取り組み状況に鑑みた行動計画を立てましょう。

行動計画を提出

行動計画を確定した後は、企業全体の取り組みであることを社内報もしくはポータルサイトなどあらゆる方法で全従業員に知らせます。

また、行動計画を知らせる対象は社内だけではありません。女性活躍推進法では自社の住所を管轄する都道府県の労働局雇用均等室に提出しなくてはなりません。

届け出る際の様式は、女性新法単独型と女性新法・次世代法一体型の2種類があります。

一般事業主行動計画の策定について

政府の女性活躍推進法の取り組み

企業努力により取り組み状況が優良な場合、申請に基づき厚生労働大臣から優良企業として認定され、これを「えるぼし認定」といいます。

また、前述の女性の活躍推進企業データベースでは、各企業における女性活躍に関する情報公表がされています。

このように、政府が企業に対し一方的努力を求めるのではなく、政府も一体となって女性活躍推進法を推し進めていることが分かります。

えるぼし認定
女性の活躍推進企業データベース

えるぼし認定

ここでは、えるぼし認定の内容について説明します。

えるぼし認定を得るには、一定の基準をクリアする必要があります。主な認定基準は「採用」「就業継続」「労働時間等の働き方」「管理職比率」「多様なキャリアコース」の5つがあります。

また、えるぼし認定では上記5つの評価項目における達成項目数に応じて1~3段階に分けて認定しています。評価項目すべてを達成すると最高位の3段階(3つ星)を得られます。

なお、えるぼしの「える」とは、女性の「Lady」、働くを意味する「Labor」、手本の「Lead」及び称賛を意味する「Laudable」のそれぞれの頭文字からネーミングされています。

女性の活躍推進企業データベース

最後は、本記事の競合他社との比較において触れた、女性の活用推進企業データベースについて改めて紹介します。

これは、各企業における女性の活躍状況を集約したデータベースであり、厚生労働省のサイトにより閲覧できます。

競合他社、求職希望者に加え、多くの方が閲覧することからも、女性活躍推進法の進捗状況は企業価値を左右しかねない判断基準となっています。

女性の活躍推進企業データベース

女性活躍推進法を積極的に取り組んでいこう

労働環境や休暇制度が充実していないことを理由に、本来持っている能力を発揮しきれない状況を改善するために、女性活躍推進法が制定されました。

その影響により、女性就業率や女性管理者登用数は緩やかに上昇しているものの、他国と比較した場合の進捗状況は後れを取っています。

少子高齢化に伴う労働力人口減少は深刻な問題であり、こうした状況だからこそライフワークバランスを保ちながら女性が輝ける労働環境を提供することは非常に重要です。

女性活躍推進法を積極的に推進することで、これまで以上に組織が活性化し、企業全体の価値も高まるでしょう。