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ジョブローテーション制度とは?導入する目的とメリット6つを解説

ジョブローテーション制度とは?

ジョブローテーション制度とは、社員の能力開発を目的に、戦略的な部署移動や業務変更をすることです。

 

ジョブローテーションによってさまざまな部署や業務を経験し、個人の能力をアップさせたり、社員ごとの適材適所を見極められたりすることができるといったメリットがあります。

 

この制度は人材研修や人事戦略の1つとして行われるもので、目的によって期間は異なります。

適切な期間

ジョブローテーションは目的によって3ヵ月から6ヵ月という短いスパン、もしくは3年から5年という長いスパンで行われます。

 

ジョブローテーションの期間は実施する目的や企業によって異なりますが、新入社員の人材研修などを目的としたローテーションであれば、半年以内の短い期間で複数の部署を経験することになります。

 

一方、幹部候補の社員などのスキルを培う目的であれば、3年や5年といった年単位の長いスパンで行われます。

他の部署異動との違い

ジョブローテーションと他の部署異動とはどのような違いがあるのでしょうか。

 

ジョブローテーションは新入社員の人材育成や幹部候補の社員などのスキルアップを目的として行われますが、同じように企業で行われる部署異動には「社内公募」や「人事異動」などがあります。

 

ここではジョブローテーションと他の部署異動との違いをご紹介します。

社内公募

社内公募とは社員に対してポストや職種などの条件を提示した上で希望者を募り、人事配置を決定する方法です。

 

社内公募では、提示した条件で公募した社員の中から、もっともそのポストに適している社員を選びます。一方ジョブローテーションの場合は、社員の意思とは関係なく、ふさわしい人材が選ばれるという特徴があります。

 

そのため、人事戦略に用いられるという共通点はありますが、選定方法が異なります。

人事異動

人事異動とは社員に役職を与えることや配置転換を行うことです。

 

企業組織の中での社員の地位や、勤務地などを変える作業全般を人事異動と呼びますが、主な目的は欠員の補充や組織の強化などです。

 

一方、ジョブローテーションはそれらに加えて、人材育成も目的となります。そのため、人事異動よりもジョブローテーションはより広い意味を持つと言えるでしょう。

ジョブローテーションの目的4つ

ジョブローテーションの目的をご紹介します。

 

ジョブローテーションは、具体的にどのような目的で実施されるのでしょうか。ここでは、主な目的4つをご紹介しますので、理解を深めてください。

ジョブローテーションの目的1:人材育成の一環

ジョブローテーションは人材育成の一環として行われます。

 

ジョブローテーションは、新入社員や経験の浅い若手社員に、企業内のさまざまな部署や職種などを経験させることを目的としており、多くは新人のための人材研修として行われます。

 

短いスパンであらゆる部署や職務に就くことで、本人の意向や適性を把握し、正式な配置を決定することができます。

ジョブローテーションの目的2:従業員が企業全体を把握するため

ジョブローテーションは社員自身が企業全体を把握するために行われます。

 

事業の規模が大きくなるほど企業組織は巨大になり、社員の数だけでなく部署や職種の数も増えます。そのため、社員自身にも全体の把握が難しくなります。

 

しかし、ジョブローテーションによってさまざまな部署であらゆる職務を経験することにより、組織全体を把握しやすくなります。また、幅広い視野を得ることもできるでしょう。

ジョブローテーションの目的3:属人化を防ぐため

ジョブローテーションは属人化を防ぐために行われます。

 

属人化とは、特定の仕事の詳細を特定の担当者だけが把握する、という状態のことです。業務が属人化されると、特定の社員にしかできない仕事が多くなり、負担も多くなります。

 

1人の社員がリスクを抱えてしまうことになるため、ジョブローテーションによって属人化を防止することも重要です。また、業務を他の社員と共有することも可能になります。

ジョブローテーションの目的4:人脈の構築

ジョブローテーションは人脈の構築のために行われます。

 

日本の企業は昔から終身雇用制度という形態を取ってきましたが、ジョブローテーションはその中で進化してきました。

 

日本では長く働くことが常識のようになっているため、ジョブローテーションによって、若いうちにさまざまな部署で仕事を経験し、人脈を築くことで、将来の幹部候補を育てていけます。

ジョブローテーションを取り入れるメリット6つ

ジョブローテーションを取り入れるメリットをご紹介します。

 

ジョブローテーションでは、さまざまな部署や職務を経験することになるため、企業だけでなく社員自身にも多くのメリットがあります。

 

ここでは、メリット6つをご紹介しますので、ぜひ参考にしてください。

ジョブローテーションのメリット1:適材適所の人材配置ができる

ジョブローテーションでは、適材適所の人材配置ができるというメリットがあります。

 

さまざまな部署に移動し、さまざまな職務を経験することで、社員本人も自分の適正を見極められます。また上司も、より部下本人の適材適所の職務に配属ができるでしょう。

 

もっとも適したポジションに就かせることで、本人のモチベーションを高めることもできます。

ジョブローテーションのメリット2:幹部候補を育成できる

ジョブローテーションでは幹部候補の育成ができるというメリットがあります。

 

幹部候補となる人材を育てるのには時間がかかります。しかしジョブローテーションによって早い段階からさまざまな現場で実際に働き、経験を積ませることで、幹部候補生に現場への理解を深めさせることができます。

 

そのため、将来実際に幹部になったときには、ジョブローテーションにより培った現場での経験や知識が役立つことでしょう。

ジョブローテーションのメリット3:従業員は業務の視野が広がる

ジョブローテーションでは、従業員の業務の視野を広げられるというメリットがあります。

 

ジョブローテーションによって、大きな「企業」という組織のさまざまな部署で、従業員はこれまで知らなかった業務を経験します。

 

そのため、幅広い視野で物事を考えることも可能になります。また変に偏りのない、新しいアイデアを生み出すことも期待できるでしょう。

ジョブローテーションのメリット4:モチベーションの維持や向上につながる

ジョブローテーションではモチベーションの維持や向上につながるというメリットがあります。

 

どこの企業でも、社員には長い期間高いモチベーションを持って働いてもらいたいと考えます。そのため、ジョブローテーションには、将来の幹部候補である、という意味を暗に伝え、社員のモチベーションを高めようという狙いがありました。

 

社員自身も、幹部候補であると思えば高いモチベーションを持ち続けられるでしょう。

ジョブローテーションのメリット5:仕事をスムーズに進められる

ジョブローテーションでは仕事をスムーズに進められるというメリットがあります。

 

ジョブローテーションによって部署を巡っていくことで、会社全体での仕事の流れを体験できます。そのため、従業員は自分が働いている会社での業務の一連の流れを把握できるようになります。

 

そのことにより、本配属となった後でも仕事をスムーズに進められるようになるでしょう。

ジョブローテーションのメリット6:様々な部署との関係性が生まれる

ジョブローテーションでは様々な部署との関係性が生まれるというメリットがあります。

 

あらゆる部署に配属されることで、他部署の人々との人間関係が構築されます。それが繰り返されることで、社内にさまざまな人材のネットワークができます。

 

そのため、直接交流がない部署同士でも連携が取りやすくなります。また、社内にも一体感が生まれ、生産性を向上させることもできます。

ジョブローテーションのデメリット4つ

ジョブローテーションを取り入れるデメリットをご紹介します。

 

ここまでご紹介したように、ジョブローテーションには多くのメリットがあります。一方でデメリットがあるのも事実です。

 

ここではデメリット4つをご紹介します。

ジョブローテーションのデメリット1:スペシャリストの育成が難しい

ジョブローテーションには、スペシャリストの育成に不向き、というデメリットがあります。

 

ジョブローテーションでは限られた期間で部署を移動します。また、どの部署でも初めて経験する業務を行うので、基本的には簡単な業務しか割り当てられず、どうしても業務内容の深い部分まで理解できません。

 

そのため、専門性の高い知識や技術を習得したスペシャリストを育成することは難しいでしょう。

ジョブローテーションのデメリット2:生産性が落ちる可能性があり

ジョブローテーションには、一時的に生産性が落ちる可能性があるというデメリットがあります。

 

ジョブローテーションでは定期的に社員の配置が変わるため、そのたびに新しい業務を習得することになります。先輩社員は指導のため時間を取られることになり、本人も慣れるまで時間がかかるため、生産性が低下する可能性があります。

 

生産性の低下を抑えるには、スキルの高い社員を側に配置するといった対策が必要です。

ジョブローテーションのデメリット3:給与体系によっては導入が難しい

ジョブローテーションは、部署ごとの給与体系によっては導入できないというデメリットがあります。

 

ジョブローテーションでは、さまざまな部署で決められた期間働いて、経験を積むことになります。同じ企業内でも部署によって給与に大幅な差がある場合、対象の人材への給与支払いの関係上、導入することが難しい場合があるでしょう。

ジョブローテーションのデメリット4:離職の可能性がある

ジョブローテーションには、社員の離職につながる可能性があるというデメリットがあります。

 

さまざまな部署や業務を短いスパンで経験するので、中には合わない業務を担当する場合もあります。また、プロジェクトに参加しても、途中で抜けなければいけないといったことがフラストレーションになり、離職につながることがあります。

 

そういったケースを防ぐには、定期的に本人の希望を聞く機会を設けることが重要です。

ジョブローテーションに向いている企業の特徴5つ

ジョブローテーションに向いている企業の特徴をご紹介します。

 

ここまでジョブローテーションのメリットやデメリットについてご紹介してきましたが、具体的にはどのような企業がジョブローテーションを取り入れることに向いているのでしょうか。

 

ここでは、向いている企業の特徴5つをご紹介します。

ジョブローテーションに向いている企業1:複数の部署が連携してサービスを展開している企業

複数の業務が連動してサービスを提供している業態の企業は、前後の工程を知ることで業務がよりスムーズに進むようになるため、ジョブローテーションに向いています。

 

複数業務が連動している業態とは、主にメーカーや金融機関などが該当します。それらの業態の企業であれば、工程の前後の業務を見たり、現場だけでなく本部も行き来して知見を蓄えたりすることで、本配属になってもこれまでの経験や知識を活かせるでしょう。

ジョブローテーションに向いている企業2:社員の数が多い企業

社員の数が多い企業は、同じような役職や職種、ポジションに就いている人数が多いため、ジョブローテーションに向いています。

 

人数が多いと候補者が選びやすく、計画も組みやすいでしょう。業務が回らなくなる可能性も低いです。

 

社員が少ない企業の場合は、ジョブローテーションを行ってしまうと、仕事が回らなくなるリスクがあります。

ジョブローテーションに向いている企業3:会社の文化を統一したい企業

会社の風土や文化を会社全体で統一したい企業は、人材交流ができるジョブローテーションに向いています。

 

M&Aなどが行われた場合など、まずは会社全体として企業の風土を一体化させたいケースもあるでしょう。

 

そういった場合、さまざまな部署や職種の人材交流が行われるジョブローテーションであれば、元々異なる企業の人材同士で協力し合うので、お互いのことを知る良い機会になるでしょう。

ジョブローテーションに向いている企業4:業務に幅広い知識が必要な企業

業務に幅広い知識が必要な企業は、さまざまな現場の知識を身につけることができるジョブローテーションに向いています。

 

たとえば金融業などは非常に幅広い知識が求められるため、現場と本部を行き来することで多くの知識や経験を積み、別の部署でも経験を活かせるでしょう。

 

また、多くの知識が集約されているような商品やサービスを提供している企業でも、自社商材の得手不得手を知ることで、知識を活かせます。

ジョブローテーションに向いている企業5:縄張り意識をなくしたい企業

縄張り意識をなくしたい企業は、横串の人的交流ができるジョブローテーションに向いています。

 

部署ごとの縄張り意識が強い企業では、縦割りの壁が会社全体の成長を阻害する原因になります。しかしジョブローテーションを行うことにより定期的に部署が変わるようにすれば、縄張り意識を持つこと自体ができなくなります。

 

縦割りの意識をなくすためにもジョブローテーションは有効だと言えるでしょう。

ジョブローテーションに向いていない企業の特徴4つ

ジョブローテーションに向いていない企業の特徴をご紹介します。

 

ジョブローテーションに向いている企業では、取り入れることによるさまざまなメリットが期待できます。一方、向いていない企業もあります。

 

ここではジョブローテーションに向いていない企業の特徴4つをご紹介します。

ジョブローテーションに不向きな企業1:専門的なスキルが必要な企業

専門的なスキルが必要な企業は、短期間で職場が変わるジョブローテーションに向いていません。ジョブローテーションを行うことで専門性の高い知識や技術を習得することが難しくなります。

 

そのため、専門性が高く技術の習得に時間がかかる業種の場合、数カ月から数年で職場を変えることは逆効果になってしまいます。

ジョブローテーションに不向きな企業2:長期に渡るプロジェクトを進めている企業

長期に渡るプロジェクトを進めている企業は、短期間で部署が変わるジョブローテーションに向いていません。

 

コンサルティング会社などの長期にわたるプロジェクトを請け負っているような企業の場合、定期的に職場が変わることはデメリットになります。

 

プロジェクトの途中で社員がローテーションしてしまっては、業務自体が成り立たない場合もあるでしょう。

ジョブローテーションに不向きな企業3:イレギュラー業務が多い企業

イレギュラー業務が多い企業は、指導に工数がかかるためジョブローテーションに向いていません。

 

ジョブローテーションでは配置が変わるたびに業務を習得するため、基本的にマニュアル化できるような業務が適しています。

 

逆にイレギュラー対応が多い業務の場合、業務を習得するのにも指導するのにも時間がかかるため、ジョブローテーションには向いていません。

ジョブローテーションに不向きな企業4:ベンチャー企業

スタートアップやベンチャー企業は、そもそも人材交流の必要がないためジョブローテーションに向いていません。

 

まだ社員数も少ないベンチャー企業の場合、ジョブローテーション制度を取り入れて人材交流の必要性は薄いです。

 

また、社員数が少ない状態ではローテーションによって業務に支障が出る可能性も高いため、デメリットの方が大きいでしょう。

ジョブローテーションを導入するときのポイント3つ

ジョブローテーションを導入するときのポイントをご紹介します。

 

実際にジョブローテーション制度を導入する場合、どのような点がポイントになるのでしょうか。

 

ここではジョブローテーションを導入するときのポイントを、「新入社員」「中堅社員」「管理職」の段階別にそれぞれをご紹介します。

ジョブローテーションのポイント1:新入社員の場合

新入社員の場合、事前にジョブローテーションの意図を説明し、定期的なメンタル面でのサポートが重要です。

 

新入社員のジョブローテーションは、企業の業務への理解を深め、適材適所を見極めるために取り入れるケースが多いです。

 

しかし、希望の仕事と異なる業務を行うことに抵抗を感じる人もいるため、しっかりとしたサポートが必要になります。

ジョブローテーションのポイント2:中堅社員の場合

中堅社員の場合、配属先でリーダーシップを経験できるようにすることが重要です。

 

中堅社員へのジョブローテーションはリーダー育成が目的のケースが多いですが、中にはこれまで部下を持ったことがないという社員もいるでしょう。

 

そのため、ジョブローテーションでは部下を持たせて、管理職になるための経験を積ませるようにしましょう。

ジョブローテーションのポイント3:管理職の場合

管理職の場合、長い期間でスキルアップさせることが重要です。

 

管理職へのジョブローテーションは、幹部候補の育成が主な目的になります。そのため、経営視点で人をマネジメントできるスキルを身につけるため、ジョブローテーションでも長い期間が必要になることを押さえておきましょう。

ジョブローテーションを導入する手順4つ

ジョブローテーションを導入する手順をご紹介します。

 

ジョブローテーションを行う場合、どのような手順で行われるのでしょうか。最後に導入する手順4つについてご紹介します。

ジョブローテーション導入手順1:対象者と配属先の決定

ジョブローテーションを実施する場合、まずは対象者と配属先を決定します。

 

ジョブローテーションの対象者は年齢や勤続年数をもとに選出しましょう。また、候補者に合った配属先を選びましょう。

 

配属先は候補者の性格やキャリアプラン、人材を必要としている部署などをよく考慮することが重要です。

ジョブローテーション導入手順2:実施期間の決定

次に実施期間を決定します。

 

対象者と配属先を決定したら、実施期間はどのような目的でジョブローテーションを行うのかを踏まえたうえで、どのくらいの期間行うのかを決定します。

ジョブローテーション導入手順3:目標を設定する

さらに具体的な目標を設定するようにしましょう。

 

ジョブローテーションの期間が決定したら、実施する目的を踏まえたうえで、スキルの習得といった目標を設定するようにしましょう。

ジョブローテーション導入手順4:実施する

対象者に連絡し、受け入れ側の準備も整った時点で実施するようにしましょう。

 

対象者に実施内容を知らせ、了承を得られたら、ジョブローテーションを実施します。

 

また、実施中は目標のどの程度まで進んでいるかといった、進捗状況を定期的に確認するようにしましょう。

ジョブローテーションの導入を検討しよう

ジョブローテーションは適した企業で実施することで、さまざまな効果が得られます。

 

ぜひ、この記事でご紹介した制度の概要やその目的、取り入れるメリットやデメリットなどを参考に、ジョブローテーション制度をご検討ください。

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