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派遣社員の途中解約について|契約解除の4つの条件や派遣先がすべきこと

派遣社員の途中解約について


労働者派遣契約の途中解約は原則できません。やむを得ず途中解約する場合は労働者派遣法により、派遣先、派遣元が講ずべき措置が定められています。

派遣契約と、派遣元での労働契約は別物であり、派遣契約が途中解約されても派遣元との労働契約は残ります。

途中解約を派遣元、派遣先、派遣社員の観点から考えてみます。なお、厚生労働省等公的機関での呼称は「中途解約」になっています。

出典:派遣先の事業主の皆さまへ|厚生労働省
参照:https://www.mhlw.go.jp/content/000620317.pdf

人材派遣の仕組みをおさらい


労働者派遣法は昭和61年に施行され、以来改正を繰り返し、対象業務も原則自由化となりました。今では欠かせない制度になっていますが、正社員との待遇の格差等課題も多くあります。

派遣元企業、いわゆる派遣会社が労働者と有期、無期で雇用契約を結び、労働力を希望する派遣先企業との間で派遣契約を結び派遣する制度です。

雇用は派遣元、仕事は派遣先会社であるため、双方の連携が特に重要です。

出典:労働者派遣法の現状と課題|参議院
参照:https://www.sangiin.go.jp/japanese/annai/chousa/rippou_chousa/backnumber/2008pdf/20080118048.pdf

派遣先の都合で途中解約する場合

派遣契約を途中解約できるのは「やむを得ない」場合です。契約であり派遣元が承諾すれば良いという見方もありますが、その前に派遣者の交替要望等手を尽くすべきです。

その上で、社会通念上「やむを得ない」と認められる場合は、派遣契約での途中解約の定めにより派遣元の合意を得て、相当の猶予期間をもって契約解除を申し入れます。

申し入れが遅れると、派遣元に対して損害賠償が必要になることもあります。

途中解約できる条件4つ

派遣契約を派遣先の都合により、やむなく途中解約する時は派遣先が講ずべき措置や、講ずべき措置に関する指針が定められています。

この内、「やむない」事情には、スタッフに明らかに派遣契約解除に相当する問題がある場合、また、派遣先の倒産危機等が挙げられます。派遣先が講ずべき措置、指針も含めて確認します。

1:会社に倒産リスクがある場合

「倒産リスク」はやむを得ない事情に該当しますが、それをきちんと説明できることが必要です。これは、会社の整理解雇の例を参考にすれば良いでしょう。

まず、経費削減等再建努力も尽くすが人員整理も必要で他に方策が無い、派遣者の部門も含めて人員整理もやむを得ない、人選が的確である、従業員への説明等にも手を尽くすことが必要です。

2:スタッフに契約解除に値する問題がある場合

これは「やむを得ない」事情か否かで判断が分かれる場合も予想されるため、注意が必要です。

内部機密の漏洩等争う余地のない理由であれば、派遣契約の中で決められた途中解約の条項に従い、処理すれば良いでしょう。

もちろん、単に「派遣者の能力が劣る」では認められません。派遣者の交代要請もできるからです。理由に疑問の余地がある場合は、対応記録等を整理しておくことも肝要です。

3:事前に告知して猶予期間を儲けた場合

派遣先の都合によりやむを得ず派遣契約を途中解約する場合は、派遣先の講ずべき措置に関する指針により、労働者派遣契約の解除の事前申し入れが求められます。

派遣元の合意を得ることはもとより、あらかじめ相当の猶予期間をもって派遣元に対して派遣契約解除を申し入れることが必要です。

申し入れが遅れると、派遣元が派遣者に支払う給料等の損害賠償が発生することもあります。

4:派遣元会社との合意が確保できた場合

派遣契約を途中解約する場合、やむを得ない事情が必要です。社会通念上明らかであっても派遣者の交代要請等、事前に解約回避努力は必要です。

それでも解約するとなった時は、派遣契約で定められた手順に沿って手続を進めます。

契約ですから、相手方の同意があれば基本的に問題ありませんが、相当の猶予期間をもって契約解除の申し入れを行うことが求められています。

派遣元がしなければならないこと3点

派遣契約が途中解約されても、派遣労働者と派遣元の雇用契約は存続します。さらに期間を定めて雇用契約を結んだ時は、やむを得ない事由がない限り派遣元企業も労働者も雇用契約を途中解約することはできません。

途中解約に際して、派遣元企業に求められている対応3つ、①新たな就業機会を確保する、➁休業手当の支払い、③派遣契約の中途解除に伴って派遣労働者を解雇しようとする場合、について解説します。

1:新たな就業機会を確保する

派遣契約の解除にあたって派遣元事業所が講ずべき措置が定められており、その筆頭が新たな就業先の確保です。

派遣契約を途中解約した企業の関連会社を紹介してもらう、派遣元が独自に探す等で新たな就業先の確保が求められています。

2:派遣者に休業期間の休業手当を支払う

派遣契約の途中解除があれば、派遣元はまず新たな就業先の確保に努める必要があります。万一それが出来ない場合は休業等による雇用維持と休業手当を支払うことが求められています。

3:派遣契約の中途解除に伴って派遣労働者を解雇しようとする場合

派遣契約が中途解約された場合や、派遣元企業が必要な対応に手を尽くしても新たな就業先を確保できない時は、解雇もやむを得ない場合もありますが、この時は労働基準法に沿った措置を行います。

なお、有期雇用者の中途解約条件は厳しいものになっています。

解雇事由を明示すること、また解雇権の乱用に当たる解雇は無効とされます。労働者を解雇する時は、30日前までの予告か解雇予告手当の支払いが必要となります。

出典:労働契約の終了に関するルール |厚生労働省
参照:https://www.mhlw.go.jp/file/06-Seisakujouhou-11200000-Roudoukijunkyoku/0000069165.pdf

派遣先がしなければならないこと4点


派遣先が派遣契約を途中解約する際には、講ずべき措置が定められています。その前に、派遣労働者の交替要請等の対応も必要です。

その上でやむなく派遣契約を中途解約する時には、契約解除申し入れの時期や、ケースにより派遣元が行う派遣者への賃金の損害賠償等など、派遣先に求められていることを確認します。

1:派遣契約解除は猶予期間をもって申し入れる

派遣契約の途中解約に当たって、派遣先が講ずべき措置に関する指針として、派遣元に対して相当の猶予期間をもって契約解除の申し入れを行い、了承を得ることがあります。

この申し入れが遅れた場合は、派遣元が派遣者に支払う賃金を損害賠償として派遣元に支払う義務が生じるケースもあります。

2:派遣会社に理由を明示する

派遣契約の途中解約に当たって、派遣先が講ずべき措置に関する指針として、途中解約理由の説明義務があります。

これは派遣元が、派遣労働者から途中解約理由の説明を求められた場合、派遣先企業が派遣元企業に対して理由を回答することを指します。

3:新たな就業機会を確保する

派遣契約の途中解約に当たって、派遣先が講ずべき措置に関する指針として、派遣者に対して新たな就業機会の確保に対する努力義務があります。

派遣元とも連携して、自社の関連会社等で新たな就業先を確保し、雇用の維持を図ることが求められています。

4:派遣元に損害賠償を支払う

派遣契約の途中解約について、派遣先が講ずべき措置に関する指針として、損害賠償の支払いがあります。

派遣元とも連携して、新たな就業機会の確保を目指したもののそれが出来ず、最終的に派遣元が派遣者を解雇する場合は解雇予告手当を支払います。

解雇予告は解雇の30日前までに行なわなければならず、派遣先の申し入れが遅れて間に合わない場合は、その間の賃金相当額を派遣元に対して賠償する必要が生じます。

出典:(2) 派遣先の講ずる派遣労働者の雇用の安定を図るために必要な措置|厚生労働省
参照:https://www.mhlw.go.jp/general/seido/anteikyoku/jukyu/haken/youryou/dl/7.pdf

契約解除しても派遣元と派遣者の契約は続いている

派遣契約が途中解約されても派遣労働者との雇用契約は存続するので雇用の維持を図る責任があります。

それが出来ず、やむを得ず労働者を解雇する時は労働各法に基づく責任を果たす必要があります。解雇権の乱用による解雇は無効とされ、有期雇用者は原則期限までの雇用義務があり、解雇はさらに厳しく判断されます。

解雇を行う場合は労働基準法に基づき30日前までの解雇予告か解雇予告手当の支給が必要です。

派遣先の都合以外での途中解約の場合


派遣先の都合以外で途中解約する場合としては、派遣元都合と、派遣者都合があります。期間の定めがある雇用契約の場合、原則として使用者も労働者も期間中の途中解約はできません。

双方とも解約には「やむを得ない」事由が必要ですが、妥当性については厳格に判断されます。単に途中解約したい、転職、体調不良等では認められません。また、産前産後の休業期間中等一定の場合は解雇が禁止されています。

出典:婚姻、妊娠、出産等を理由とする不利益取扱いの禁止等|厚生労働省
参照:https://www.mhlw.go.jp/file/06-Seisakujouhou-11900000-Koyoukintoujidoukateikyoku/0000141983.pdf

派遣元都合での途中解約のポイント


ここからは派遣元都合での途中解約のポイントについて解説していきます。今回は、「通常の雇用関係のため雇用契約書に従う」「途中解約には相当の理由が必用」の2項目をピックアップしていきます。

派遣元都合での途中解約のポイントについてご興味がある方は、参考にしてください。

通常の雇用関係のため雇用契約書に従う

無期契約であれ有期雇用契約であれ、一定の理由があれば途中解雇は可能です。

解雇が決まれば後は就業規則の解雇条項に従い対応する、雇用契約、就業規則が労働契約法等労働各法の規定に沿っているかの確認もしておくべきでしょう。

途中解約には相当の理由が必用

有期雇用であれ無期雇用であれ、契約期間途中の解雇には厳しい条件が定められています。有期雇用の場合はより雇用主には厳しくなりますが「やむを得ない事由」が必要です。

やむを得ない事由の判断は個別判断になりますが、例えば経営難だけでは認められず、人員削減の必要性、整理解雇の必要性、解雇対象者選定の妥当性、解雇手続きの妥当性まで必要とされています。

派遣者都合での途中解約のポイント

派遣者からの雇用契約途中解除については、無期雇用か有期雇用で異なります。どちらも基本は労働関連各法律の趣旨や雇用契約、就業規則に基づく手続きです。

無期雇用の場合は2週間前に通告すれば良いのですが、円満に退社するためには一般的な1ヶ月前が望ましいでしょう。

有期雇用の場合は「やむを得ない事情」が必要とされています。まず会社と交渉してみることでしょう。

出典:詳細|法テラス
参照:https://www.houterasu.or.jp/app/faq/detail/01285

契約内容と異なる点は是正を要求できる

労働契約法他で労働者保護の体制は定められています。雇い主には安全面他多くの取り組みが求められます。その一つとして、苦情処理等の窓口の設置もあります。契約違反の是正要求は当然の権利です。

会社でも匿名で相談できることになっていますが、その他、労働組合、各地の労働基準監督署の相談窓口に相談すれば良いでしょう。

出典:政策レポート|厚生労働省
参照:https://www.mhlw.go.jp/eisaku/23.html

正当な理由があれば退職を選択できる

期間に定めのある雇用契約でも「やむを得ない事情」があれば労働者から退職を申し入れ直ちに退職することができます。

問題はその「やむを得ない事情」です。

単に転職や家の都合、では認められず、引き続き勤務していると生命、身体の危機が予測される、介護のために他の選択が無い等社会通念上誰もが納得できる理由が必用とされています。

派遣先企業もトラブル対策が必用

派遣契約の途中解約はやむを得ない事情があれば可能になります。しかし、万一派遣元の同意が得られなければ難航します。新たな就業機会の確保努力や休業手当の保証等の対応も必要です。

万一裁判となり、敗訴になれば損害賠償等の負担も生じます。

それ以前に派遣先指針にのっとり労働者の教育訓練や指導状況、トラブル対応等に注力する、記録を残すことが肝要です。

派遣社員の途中解約について知ろう


平成29年度厚生労働省調査によると、過去1年間に派遣契約を中途解約した事業所割合は14.0%です。複数回答での理由としては、派遣者の勤務状況に問題ありが49.6%、技術、技能に問題ありもほぼ同様です。

中途解約に伴い雇用の安定化を図るための措置を講じた事業所は4.8%で、内容は別の就業機会を提供49.0%、派遣労働者の期間終了までの派遣料金を派遣元に支払ったが20.4%です。そのため、課題が多い状況といえるでしょう。

出典:平成29年度派遣労働者実態調査の概況.6.派遣契約の中途解約|厚生労働省
参照:https://www.mhlw.go.jp/toukei/itiran/roudou/koyou/haken/18/dl/gaikyou.pdf”