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働き方改革による残業の上限規制の注意点4選|残業と時間外労働の違いは?

残業とは何?

残業とは、所定労働時間を超えて働くことをいいます。

 

所定労働時間は会社が就業規則で定めた就労時間です。始業時間から就業時間までの時間から、休憩時間を除いたものを指します。所定労働時間は、労働基準法で定められた「1日8時間」かつ「週40時間」の範囲内で設定されます。

 

就業時間が8時から17時、休憩1時間の会社の場合の所定労働時間は8時間です。この場合、8時間以上働くと残業扱いとなります。

残業に関する2つの規定

残業は、2種類に分類されます。

 

労働者が残業した場合、残業代が発生します。一般的に、残業と聞くと割増料金が発生するイメージを持つ人もいるでしょう。

 

同じ時間残業した場合でも、2種類の内のどちらに該当するかで金額が変わります。

 

ここでは、残業に関する2つの規定について解説していきます。

法内残業

「法内残業」は、法定労働時間の範囲内で、所定労働時間を超えて働くことをいいます。

 

法定労働時間とは、労働基準法で定められている労働時間の上限であり、原則として「1日8時間」かつ「週40時間」とされています。

 

9時から17時(休憩1時間)まで勤務している人が18時まで働いた場合を例に挙げます。この場合は8時間(所定労働時間7時間、残業1時間)の勤務で、法定労働時間内であるため、法内残業とみなされます。

法定時間外残業

「法定時間外残業」は、法定労働時間を超えて残業する場合をいいます。

 

法定時間外残業の場合、割増賃金が発生します。労働基準法は、労働者の保護および長時間労働の抑制の目的から、会社に割増賃金の支払義務を課しています。

 

月60時間超の割増率(1.5倍)のみ、中小企業への適用が2023年4月まで猶予されております。

残業と時間外労働の違い

残業と似た言葉として「時間外労働」が挙げられますが、残業との違いは何でしょうか。

 

時間外労働とは、就業時間以外の労働を指します。残業のように所定労働時間を超えて働く場合に加え、就業時間前に働く早出残業、休日出勤も含まれます。

 

そのため、残業は時間外労働の一つの形態とされます。

働き方改革による残業の上限規制で期待される2つの効果

働き方改革の一環として、残業の上限が「月45時間・年360時間」に設定されました。

 

臨時的な特別の事情があり労使が合意する場合は上限を超えての労働が可能ですが、「年720時間以内」、「時間外労働・休日労働の合計が月100時間未満(2~6か月の平均80時間以内)」、「月45時間超の時間外労働は年6か月が限度」といった規制があります。

 

ここでは、上限規制で期待される効果についてご紹介します。

生産性の向上

まず、生産性の向上が挙げられます。

 

働き方改革は、労働者が不自由を感じることなく働ける社会づくりを目的としています。労働者の働きすぎを防止することで、労働者の保護、労働時間の適正化を図っています。

 

長時間労働や過重労働は労働者に大きな負担が掛かり、怪我や事故を引き起こす可能性があります。残業時間を規制することで、労働者がリフレッシュした状態で仕事に臨めるので生産性や企業の利益アップに繋がります。

ワークライフバランスの充実

もう一つは、ワークライフバランスの充実です。

 

ワークバランス(仕事と生活の調和)はアメリカで古くから使われる言葉で、日本でも働き方改革以降普及されるようになりました。「国民がやりがいを持って働き、家庭や地域生活においてライフステージに応じた多様な生き方を選択できる社会」をいいます。

 

残業規制により、プライベートの時間が増えます。仕事もプライベートも充実することで、ワークライフバランスの実現が可能です。

働き方改革による残業の上限規制の注意点4選

働き方改革による残業の上限規制は、「残業が短くなって労働時間が減る」、「早く帰れる」など、一見良いことばかりに思えるかもしれません。

 

しかし、上限規制による課題もあります。

 

ここでは、残業の上限規制の注意点を4つご紹介します。

働き方改革の注意点1:残業代が減る事で社員の意欲が下がる

残業代が減り、社員のモチベーションが低下する可能性があります。

 

残業が規制することで、当然ながら残業代も今までより少なくなります。人々が働く理由は、「生活のため」が大半を占めます。残業が多い企業で働く人は、残業代ありきで生活設計をしているケースも多いでしょう。

 

手取り額が減り、やる気や効率が下がってしまう社員が出てくることが懸念されます。

働き方改革の注意点2:管理職の負担に気をつける

管理職の負担が大きくなる場合があります。

 

通常、労働者が残業・休日出勤などの時間外労働をした場合は割増賃金が発生しますが、「事業の種類にかかわらず監督若しくは管理の地位にある者」は対象外となります。

 

管理監督者に該当するか否かは、役職名にかかわらず、実際の職務内容によります。しかし、「役職者=管理監督者」と見なされ、残業規制により、管理職のサービス残業が助長される恐れがあります。

働き方改革の注意点3:業務の効率化が伴わない

3つ目の注意点は、業務の効率化が図れない点です。

 

残業の上限規制のメリットとして生産性の向上を挙げましたが、会社によっては人手や時間が足りず、業務の効率化に至らない場合があります。

 

一日に働ける時間が減ることで、仕事が終わらないという事態が想定されます。その結果、持ち帰り残業や休日出勤の可能性が出てきます。

働き方改革の注意点4:企業にとってのダメージを避ける

最後にご紹介する注意点は、企業にとってのダメージを避けなければならない点です。

 

働き方改革によって残業の上限規制がされても、会社の勤務体制を改善しなければ労働者の負担は増える一方です。時間が足りずに持ち帰り残業になれば、仕事量は変わらないのに残業代は出ないといった事態を引き起こし、離職者が出てくる可能性があります。

 

時間内で完結できるように、業務手順の見直しや改善、ムダやムラを省くことが求められます。

働き方改革による上限規制の対象外にあたる職種3選

働き方改革により、2019年4月より順次対応策が開始されています。

 

残業の上限規制も2019年4月からスタートしましたが、規制の対象外となる職種があります。正確には、上限規制の適用が5年猶予されるというものです。

 

ここでは、上限規制が猶予される職種を3つご紹介します。

上限規制の対象外の職種1:医師

医師の場合、2024年3月までは残業の上限規制が適用されません。

 

法定労働時間を超えて労働する場合、労働組合と「36(サブロク)協定」と呼ばれる協定を結び、労働基準監督署に届け出る義務があります。働き方改革により、一般企業の36協定には様々な縛りがありますが、医師は猶予期間中は上限時間が規制されません。

 

2024年4月以降の対応については、省令で決定される予定です。

上限規制の対象外の職種2:自動車運転業務

自動車運転業務も、2024年3月までは「月45時間・年360時間」をはじめとする上限規制の適用が猶予されます。

 

猶予後の2024年4月1日以降は、災害の復旧や復興の事業を除いては上限規制がすべて適用されることになります。災害の復旧や復興の事業の場合、時間外労働および休日労働の合計に関して「月100時間未満」、「2~6か月平均80時間以内」という規制は適用されません。

上限規制の対象外の職種3:建設事業

3つ目の職種は建設事業です。医師、自動車運転業務と同じく、2024年3月までは上限規制が適用されません。

 

2024年4月1日以降は、特別条項付き36協定を締結する場合において、時間外労働の上限が「年960時間」とされます。また、時間外労働・休日労働の合計は「月100時間未満」、「2~6か月平均80時間以内」に制限されます。

 

猶予期間後も、月45時間超の時間外労働は年6か月までという規制は適用外です。

適切な働き方を実現するため働き方改革を理解しよう

残業の上限規制が開始され、従来通りのやり方では仕事が回らないという会社も多いのではないでしょうか。

 

働き方改革は、労働者を支援するための改革です。規制に違反した場合は罰則が科されます。労働時間の適正化、業務の効率化のために、会社の現状を見直す必要があります。

 

働き方改革の本質を理解し、従業員が働きやすい環境を整えることが大切です。