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依願退職についての要点6つ|有給休暇・支払う退職金・ボーナスについて

依願退職とはどのような退職方法のこと?

依願退職(いがんたいしょく)とは、職員が退職の意思を表明し、会社側がそれに承諾して成立する形態の退職方法のことです。

 

依願退職は、大きく分類すると「自己都合退職」の部類に入ります。従業員の一身上の都合により、自ら進んで退職の意思を表明することに該当するので、自己都合退職として取り扱われます。

 

反対語として「会社都合退職」がありますが、こちらは会社の経営陣側から従業員に退職を促す場合や、会社に責任が帰す場合の事業縮小などによる理由で退職となることを伝える方法を指します。

エンジニアが依願退職する場合はどのようなケースが多い?

エンジニアとして勤務する職員自らが退職を申し出るケースには、将来の仕事の幅を広げるなどやりがいを求めるポジティブな理由と、会社の労働条件や待遇面に不満を持つネガティブなパターンの2つに分けられます。

 

ポジティブな理由の多くは、自身のキャリアアップのための転職や、同業他社からのヘッドハンティング(引き抜き)です。中には、独立してフリーランスになるために依願退職する方もいます。

 

ネガティブな理由の場合は、毎月の給与額がなかなか上がらなかったり、いわゆるブラック企業のような残業が多かったり、休日が少なかったりなど、つらい労働環境から逃げるように退職を申し出る方も見られます。

それぞれの退職方法と依願退職との違い7つ

会社を退職する方法としては、「自己都合退職」または「会社都合退職」の2パターンに分けられます。

 

それぞれ、退職に至るまでの流れやその後の再就職の優位性、さらには社会的なサポート体制まで、さまざまな面で相違があります。

 

ここからは、依願退職とその他の退職方法との違いを、7つに分類してご紹介します。

依願退職との違い1:解雇

「解雇」とは、会社都合の退職方法の一種です。

 

従業員側のポテンシャルが会社の業務にそぐわないといった理由から、従業員との雇用契約が解消されます。

 

従業員の態度や行動が会社の品位を損なう場合や、懲戒解雇に該当する程度ではないものの、本人の責めに帰す理由である場合は解雇の理由になります。この他にも、私傷病で働けない状態が続く場合にも解雇されるケースがあります。

依願退職との違い2:懲戒免職

「懲戒免職」とは、法律で規定されている懲罰の一種です。

 

警察官や市役所職員、自衛官などの地方公務員や、国家公務員に該当する職員が、本人が責任を負う理由により職を離れるように定める罰則です。

 

種類としては自己都合退職に分類されていますが、依願退職は公務員以外の企業の社員に対して適用される用語ですので、懲戒免職とは異なります。

依願退職との違い3:整理解雇

「整理解雇」とは、会社都合退職の一種です。

 

例えば会社の財政再建のための人員整理などで、従業員を早期退職させて人件費などのコストカットを推し進める方法になります。

 

依願退職とは退職の種類が異なり、整理解雇の場合は一方的に解雇しているので、従業員本人がその退職に合意しているかどうかは問われません。

依願退職との違い4:諭旨解雇

「論旨解雇」とは、自己都合退職の一種です。

 

「解雇」という名称のため、会社側からの解雇宣言がある退職方法と考えがちですが、これは「本人からの自己都合退職」として取り扱われます。

 

本来であれば、本人の責めに帰す事由がある職員に対しては「懲戒解雇」という方法を取りますが、本人の反省の意を汲み取って、処罰を軽くした解雇に該当するのが「諭旨解雇」です。

依願退職との違い5:辞職

「辞職」とは、おもに労働者側のみの意思で辞意を表明した退職方法のことを指します。この場合は、企業がその意思に合意しておらず、労働者側からの一方的な通告であるとされています。また辞職の場合は、前言を撤回できないとされています。

 

依願退職の場合は、退職の意思を表明した後でも、企業側が承諾していない留保の状態であれば、前言を撤回できます。

依願退職との違い6:希望退職

「希望退職」とは、会社都合退職の退職方法の一種です。一般的には、会社が退職したい人を募集して、それに応じた労働者が退職の意思を表明したものが希望退職です。

 

依願退職は、本人が退職の意思を表明して会社がそれに合意する形式です。

 

一方、希望退職の場合は、会社がまず退職者を募る方法なので、会社都合の取り扱いとなっています。

依願退職との違い7:諭旨退職

「論旨退職」とは、自己都合退職の一種です。

 

論旨解雇の名称と似ているため、会社側からの解雇宣言がある退職方法と考えがちですが、この場合も、本人からの自己都合退職として取り扱われます。

 

一般的に、本人の責めに帰す事由がある職員に対して、懲戒解雇や論旨解雇という方法を取ります。これと比較して、処罰の重さを軽くするために「本人が退職した」という形にして退職させるのが、「論旨退職」となります。

依願退職についての要点6つ

ここまで見て来たように、依願退職をはじめとした退職方法には様々なものがあります。また、依願退職と他の退職では注意すべき点も異なり、行使できる権利も変わってきます。

 

職員を依願退職させる際には、他の退職の場合と比較してどのようなことに気を付ければ良いのでしょうか。

 

ここからは、依願退職の要点6つをまとめてご紹介します。

依願退職についての要点1:依願退職は自己都合退職になる

先にも触れましたが、依願退職は「自己都合退職」の形式に該当します。

 

この場合、会社から退職を促すのではなく、あくまでも本人から退職希望が申し出されていることが必要です。

 

会社側も本人の退職希望に合意して、お互いに理解した上での退職ですので、円満退職と捉えることができます。

依願退職についての要点2:年次有給休暇は取得させる

依願退職の場合は、退職者に年次有給休暇を取得させることができます。

 

年次有給休暇、いわゆる年休は労働基準法で定められた、労働の対価が発生しながら休暇を取得できる制度です。また、この年次有給休暇については、2019年に一定の日数を取得することが義務化されています。

 

依願退職の場合は、本人の意思で退職を表明していますので、退職までの在籍期間であれば、年次有給休暇を取得させることが可能となっています。ただし、退職した後についてはその会社に在籍していないことになりますので、年次有給休暇を取得する権利自体も消滅します。

依願退職についての要点3:ボーナスの支給はどうなる?

依願退職者に対するボーナスの支給要件は、結論から言うと、その会社の定めたルール・条件によって異なります。会社がボーナスをどういった時期に、どのような要件を満たした場合に支給するかは、就業規則に明記されています。

 

依願退職を申し出ようと思った時でなくとも、会社の就業規則には一度目を通しておくことをおすすめします。

 

以下に、支給要件の内容例を挙げてご紹介しましょう。

支給日在籍要件を規定している場合

会社の就業規則でボーナスの支給日在籍要件を規定している場合には、その在籍要件を満たしている限り支給されます。

 

逆に言えば、「支給日までに退職した職員にはボーナスを支給しなくても良い」ということが就業規則に明記されていることになります。

 

この場合は、たとえ退職者本人がその事実を知らなかったとしても会社側にはボーナスを支給する必要はありません。

 

要件がどう規定されているかをしっかりと確認しておきましょう。

減額となる条件や基準を規定している場合

会社の就業規則でボーナスの減額となる条件や基準を規定している場合は、ボーナスが減額支給される恐れがあります。

 

ボーナスには、一般的には企業側が従業員へ余剰利益を分配したり、業務貢献度に応じて支給する追加報酬といった側面があります。しかし、この他にも従業員の定着を図る目的で、将来の事業貢献に対する報酬といった意味合いもあります。

 

これは、あくまでも会社に在籍していることが前提になっているため、退職者に対してはボーナスの減額をすることも認められています。

 

ただし、これらも就業規則に明記されていることが必要となりますので、よく確認することをおすすめします。

依願退職についての要点4:試用期間に申請されたら?

試用期間中である職員から、依願退職が申し出される場合があります。

 

企業は、たとえ試用期間中であったとしても、原則として従業員の即日退職を認める必要はありません。

 

退職をする場合、依願退職は自己都合退職として処理を進める必要があります。会社の規定には、決められた期日前までに退職を申し出ることが記載されているので、規定に沿った対応をすることが重要です。

依願退職についての要点5:支払う退職金について確認すること

依願退職者に対する退職金については、会社の定めた退職金の規定に則って対応する必要があります。従業員がどのような要件を満たした場合に退職金を支給するかは、会社の就業規則に明記されています。

 

では、どんな時に退職金がもらえるのか、会社の要件の内容例を挙げてご紹介しましょう。

就業規則

会社の定める退職金の規定は、就業規則に記載されています。また、就業規則に従って賃金や退職金が支払われる必要があります。

 

ただし、退職金を支給することが就業規則などの会社の規定として明記されていない場合は、退職金受給の対象者となることは低いと考えられます。

退職金規程の内容

退職金の規定によって定められた内容によって、退職金はどのように支給されるかも変わってきます。

 

例えば、「退職金の支給額は退職の理由によって変動する」と規定されている場合があります。

 

この場合は、退職の理由が依願退職の場合と、その他の懲戒退職といった本人の落ち度が多少あった場合とで、支給額を減額するといった制度が考えられます。

支給条件

退職金が支給される条件についても、ほとんどの場合は就業規則に明記されています。詳しくはその会社各自の規定によって異なりますので、確認が必要です。

 

例えば、退職する場合には一律に退職金を支払うことを規定している企業もあります。

 

その一方で、退職金自体をもともとの予算として想定していないため、退職金は支給しないと定められている企業もあります。

支給金額の算出方法

退職金を支給される企業の場合は、退職の内容によって支給金額の算出方法が異なります。

 

例えば、退職までのその会社への在籍期間をもとに判断する方法や、役職や貢献度によって支給額の増減を行う方法などがあります。

 

また、企業によっては従業員の責めに帰す理由で退職する際は、支給額の減額を行うことや、支給されないということを定めている場合もあります。

依願退職についての要点6:企業は原則として拒否できない

職員から依願退職を申し出された場合には、いかなる理由があっても、企業としてはその退職を拒むことはできません。

 

万が一、退職を拒否した場合、職員の離職したいという意思をねじ曲げる行為に該当する可能性があります。

 

「少し退職を留まってみては」という説得はありますが、基本的には「退職したい」という意思表示をした時点で申し出自体は有効となっています。

依願退職されたときの対応方法4つ

職員から依願退職の申し出があったときには、企業側はどのように対応すれば良いのでしょうか。

 

ここからは、依願退職を受け取ったときの企業側のスマートな対処法をご紹介します。

 

失業保険給付や退職願の提出期限や退職日の決定、さらには後任への引き継ぎなど、対応が必要なことがたくさんあります。

 

しっかりと対応できるようにしておきましょう。

対応方法1:失業保険給付をスムーズに受けられるようにする

企業側の対応方針として、従業員が退職後に失業保険給付を遅滞なく受け取れるよう準備しておくことが重要です。

 

失業保険は、自己都合・会社都合問わずに、離職した人が次の職に就くまでに受け取ることができるお金で、一種の保険としての役割を担っています。ただし、失業保険を受給するためには、雇用保険に加入していて、失業給付を受給するための算定期間を満たすなどの条件があります。

 

この給付を離職者が受けるためには、「離職証明」や「雇用保険被保険者資格喪失届」などの書類が必要となります。これらの書類は、企業側で作成する必要があります。

対応方法2:退職日の決め方

依願退職を受け取ったときには、どの時点で退職するのか、退職日を決めることが重要です。

 

依願退職の場合は、退職までに年次有給休暇を全て使い切れるように取り計らうのが一般的です。年次有給休暇は退職後に消滅してしまう権利のため、退職するまでに消化している方が、後のトラブルを避けることができます。

 

年次有給休暇の残り日数や、次の働き先への入社日などとの兼ね合いから、職員に納得してもらえる退職日にすることが大切です。

対応方法3:退職願は具体的な提出期限を伝えておく

依願退職を従業員が申し出てきた場合には、従業員に退職願を提出してもらい、企業がそれを受け取ることで双方の合意が成立します。

 

この退職願は、必ず受け取って書類として残すことが重要です。そのため、企業側はどの日時までに退職願を提出してもらうか、具体的な提出期限を決定しておくことが重要です。

 

退職願の受け取りが遅れると、その後の退職関連の作業期限が遅れてしまうため、最初の方に期限を決めるようにします。

対応方法4:早めに他社員へ業務の引継ぎを要請する

依願退職を受けた後には、企業側は業務の引継ぎといった後処理を行います。

 

退職することが決まった場合には、後任を選出したり、あるいは追加求人を出したりと、その職員が辞めた後も業務が続くことを考えて、早めに引継ぎを進めていくことが重要です。

 

実際の現場業務が回らなくなった場合に、退職者から内容を教示してもらうことは困難になるので、他社員への申し送り事項は会社主導で要請しましょう。

依願退職における注意点3つ

ここまで見て来たように、依願退職は普通の退職とは性質が異なります。そのため、他の退職方法との違いを認識した上で、誤った判断をしないことが大切です。

 

ここからは、依願退職の際の3つの注意点について詳しく見て行きましょう。

依願退職における注意点1:退職届ではなく退職願を提出してもらうこと

依願退職は、形式としては自己都合退職に分類されます。そのため、「退職届」を出してもらうものと考える方も多いでしょう。

 

依願退職の場合に提出してもらうのは「退職願」です。

 

会社を辞めたいという意思表示をするという点では、「退職届」も「退職願」もどちらも同じ内容になります。しかし、会社側が合意しているかどうかという決定的な違いがあります。

 

依願退職の場合は、会社との円満退職であるという意味を含んだ「退職願」を提出してもらうよう働きかけましょう。

依願退職における注意点2:決して退職を強要しないこと

依願退職の場合は、退職を強要しないようにしましょう。

 

会社側が退職を推し進めてしまうと、双方の合意ではなくなり、会社側の働きかけによる会社都合退職と判断される恐れがあります。そのため、職員から退職を表明したことを示し、また職員側から「退職を取り下げたい」との申し出が発生した場合は、企業側も話し合いをすることが必要です。

依願退職における注意点3:会社都合にするよう進めない

依願退職は、あくまでも自己都合退職ですので、会社都合の退職であるかのように進めないようにしましょう。

 

最初に退職の意思を表明したのは職員であること、それを「退職願」という書面で提出してもらうことで、後々の争いや意見の食い違いを防ぐことにつながります。

エンジニアを採用するコツ

エンジニア業界は、人材の不足が深刻に叫ばれている業界です。

 

エンジニアを業界に定着させる場合には、採用時点でどれくらい労働者を雇用できるかは重要ですが、それと同じくらい退職する職員を減らすことも重要です。

 

転職してきた職員を採用する場合には、過去にどういった経緯で離職したかを聞くことも必要です。

 

依願退職など、会社側と本人が合意した上で離職した方を採用するならば、業界を離れる可能性も少なくなると考えられます。

依願退職について理解しよう

従業員の退職には様々なケースがあります。その中でも依願退職は、会社との話し合いの上で、お互いに合意した退職方法であると言えます。

 

従業員から退職の意思を伝えられた場合は、企業からそれを拒むことはできません。

 

その後の双方のスムーズな退職に向けた意思疎通をし、正しい手続きを進めることが重要です。