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時短勤務に該当する従業員6つ|導入するポイントやメリット・デメリット

時短勤務とは

時短勤務とは正式名称を「短時間勤務制度」といい、一日の労働時間を通常よりも短縮した勤務形態です。

 

労働基準法で定められた所定労働時間は8時間です。育児・介護休業法により、時短勤務では一日の労働時間を「原則6時間」とすることができます。

 

6時間以外の時短勤務が可能か否かは、企業によって異なります。5時間や7時間など、企業が6時間以外の時短勤務を認めており、労働者が希望する場合は選択可能です。

育児・介護休業制度 ガイドブック

時短勤務とフレックスタイム制の違い

時短勤務とフレックスタイム制の違いは、一日の労働時間が定められているかどうかです。

 

フレックスタイム制は、一定期間の総労働時間を定め、出社・退社時刻を労働者の裁量で決められるものです。多くの企業では、必ず会社にいなければならない「コアタイム」を設け、その時間を含む時間帯で調整を行います。

 

労働時間が固定されている時短勤務に対し、フレックスタイム制は日によって労働時間が異なる場合があります。

時短勤務の目的って?

時短勤務は、様々な事情からフルタイムで働くことが難しい労働者を支援する目的があります。

 

育児や介護を理由に通常通りの労働時間で働けなくなった場合も、時短勤務を活用することで仕事との両立を図ることができます。

 

現代では働く女性が増え、労働者がそれぞれのライフスタイルに合わせて柔軟に労働できる環境が確立されつつあります。女性だけでなく男性を対象とした短時間勤務制度を導入する企業も増えています。

時短勤務の現状

独自の短時間勤務制度を導入している企業もあります。

 

現在は時短勤務が義務化されているため、各企業では条件を満たす労働者の時短勤務利用を受け入れています。大企業や女性の割合が多い企業などでは、将来的な出産や育児を考慮して従業員が働きやすい環境を整えているところも増えています。

 

例えば、ソニー株式会社では男性・女性ともに時短勤務が認められており、小学6年生の3月末まで適用されます。

時短勤務の義務化

2009年に、短時間勤務制度の導入が事業主に義務付けられました。

 

改正育児・介護休業法の施行に伴い、「3歳未満の子を持つ労働者」、「要介護の家族がいる労働者」に時短勤務の措置を講じることになりました。

 

当初は常時雇用する従業員が101人以上の企業が対象でしたが、2012年には従業員100人以下の企業も含めて全面施行されました。

時短勤務に該当する従業員6つ

時短勤務は労働者全てに適用されるというものではありません。時短勤務は、要件を満たした労働者が対象となります。

 

その要件は、法律で定められているもののほか、企業独自の制度によるものもあります。

 

ここでは、時短勤務に該当する6つのケースを紹介します。時短勤務について詳しく知りたい人、今後時短勤務になる可能性がある人などはぜひ参考にしてみて下さい。

時短勤務に該当する従業員1:3歳未満の子供の育児をする従業員

育児・介護休業法では、3歳未満の子供を養育する労働者を時短勤務の対象としています。

 

この場合の時短勤務の適用期間は3歳の誕生日の前日までとなります。

 

労働者が希望する場合、残業や深夜業務(午後10時~午前5時)を免除することができます。事業主がこれを却下して残業および深夜業務をさせた場合は違法と見なされます。

時短勤務に該当する従業員2:1日の労働時間が6時間以下ではない従業員

時短勤務は、1日の労働時間が6時間を超える労働者が対象です。

 

フルタイム勤務の正社員のほか、要件を満たす場合はパートタイム労働者や派遣社員も時短勤務が可能です。例えば、8時から16時までの勤務で休憩時間を1時間取っている場合、通常の労働時間が7時間のため時短勤務の対象となります。

時短勤務に該当する従業員3:3歳~小学校未就学児の育児をする従業員

3つ目は、3歳から小学校未就学児の育児をする労働者が挙げられます。

 

3歳以上の子供を養育する労働者に対して時短勤務措置を講ずるかどうかは企業の努力義務とされており、各企業の裁量に委ねられます。月24時間・年150時間を超える残業は禁止されており、深夜業務も労働者が希望した場合は免除されます。

 

小学校就学前までのほか、中学校就学前まで時短勤務が適用される企業もあります。

時短勤務に該当する従業員4:家庭に介護を要する人がいる従業員

要介護状態の家族を介護している場合も時短勤務が適用されます。介護対象の家族1人につき、利用開始から連続3年以上の期間が適用期間とされています。

 

介護の場合は、育児による時短勤務とは違って「原則6時間」の決まりはありません。労働者が希望した場合、残業は免除されます。

 

深夜業についても、事業の正常な運営に支障がある場合を除き、労働者が請求した場合は深夜帯(午後10時~午前5時)の労働は制限されます。

時短勤務に該当する従業員5:毎日雇用される従業員ではない

5つ目は、日雇い労働者ではない従業員です。

 

日雇い労働者とは、「日々雇用される者」または「30日以内の期間を定めて雇用される者」に該当する労働者をいいます。日々雇用は、1日ごとに雇用契約を締結することです。

時短勤務に該当する従業員6:時短勤務の適用期間に育児休業をしていない従業員

最後に紹介する時短勤務に該当する条件は、時短勤務の適用期間に育児休業をしていない従業員です。

 

育児休業とは、「1歳未満の子供を養育する労働者が取得できる休業」を指します。育児休業制度は「育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律」によって定められています。女性だけでなく男性も対象となります。

 

現在育児休業中の労働者には、時短勤務が適用されません。

時短勤務に該当しない従業員4つ

前述したように、時短勤務を取得するためには一定の要件があります。しかし、3歳未満の子供を養育している場合、要介護の家族を介護している場合でも、時短勤務の対象外となる場合があります。

 

ここでは時短勤務に該当しないケースを4つ紹介します。

時短勤務に該当しない従業員1:雇用期間が1年未満の従業員

時短勤務を行うためには「労使協定によって適用除外とされていない」という条件があります。労使協定とは、会社と労働者間で取り交わされる協定です。

 

企業によっては、労使協定で「対象外とされる労働者」の項目が定められている場合があります。その1つが、雇用期間が1年未満の従業員です。

 

全ての企業が勤続期間1年未満を対象外としている訳ではありませんが、現実的に入社したばかりで短時間勤務の利用は難しいでしょう。

時短勤務に該当しない従業員2:週の勤務日数が2日以下の従業員

2つ目は、1週間の所定労働日数が2日以下の従業員です。

 

こちらも、労使協定によって「時短勤務の対象外となる者」の条件に加えることができます。

 

前述した「雇用期間が1年未満の従業員は適用外」という内容と合わせると、時短勤務を利用するためには多くの場合「雇用開始から1年以上経過しており、週3日以上働いている」ことが最低条件となります。

時短勤務に該当しない従業員3:時短勤務が適用できない企業の従業員

3つ目は時短勤務が適用できない場合です。

 

労使協定では、「業務の性質または実施体制に照らして、短時間勤務制度の適用が困難と認められる業務に従事する労働者」を時短勤務の適用除外とすることができます。航空機の客室乗務員のような時間調整が難しい業務、労働者数が著しく少ない場合などが挙げられます。

 

その場合、事業主はフレックスタイム制や時差出勤制度、事業所内への保育施設の設置などの措置を講ずる必要があります。

時短勤務に該当しない従業員4:日雇い従業員

日雇い従業員は、時短勤務の適用対象外となります。

 

時短勤務に該当しない従業員の条件として「雇用期間が1年未満」であることを前述しました。日雇い従業員は「1日限りの雇用」または「1日ごとに雇用契約を結ぶ」ため、雇用契約の適用除外となります。

 

これは、3歳未満の子供を養育している場合、要介護の家族を介護している場合も同様です。

時短勤務を導入するときのポイント5つ

時短勤務の導入の際のポイントにはどのようなものがあるのでしょうか。

 

短時間勤務制度は法律によって定められており、業務の性質上困難な場合はそれに代わる措置が義務付けられています。また、独自の制度を設けている企業もあります。

 

ここでは、時短勤務を導入するときに抑えておくべきポイントを5つ紹介します。

時短勤務を導入するポイント1:目的を決める

まずすべきことは、時短勤務を導入する目的の決定です。

 

「法律で決められているから」と特に目的を明確にしていない企業もあるでしょう。しかし、目的を決めることで企業の現状把握や将来の方向性を定めるのに役立ちます。

 

「働きやすい環境を整えることで従業員のモチベーションや定着率をアップしたい」、「負い目を感じずに時短勤務を取れる雰囲気にしたい」といった目的や目標を決めましょう。

時短勤務を導入するポイント2:手続きを決める

時短勤務の手続き方法を決めておきましょう。

 

手続き自体に特段の決まりはなく、事業主で自由に定めることができます。スムーズに進められるように、手続きの流れを決めて時短勤務制度を整えましょう。

 

労働者が時短勤務を申し出るための「短時間勤務申請書」を作成することがポイントです。時短勤務に係る家族の氏名・年齢・状況、希望する期間などの記入欄を設けます。インターネットでフォーマットを検索して参考にしましょう。

時短勤務を導入するポイント3:就業規則に規定する

時短勤務について就業規則へ記載するようにしましょう。

 

就業規則とは、労働条件や労働者が守るべき規則などをまとめたものです。

 

労働者を常時10人以上雇用している企業は、就業規則の作成および労働基準監督署への届出が労働基準法により義務付けられています。従業員であれば誰でも閲覧できる状態にしておかなければなりません。

 

時短勤務に関しても、適用期間や労働時間を記載し、従業員への周知徹底が必要です。

時短勤務を導入するポイント4:業務内容を見直す

時短勤務の導入にあたって、業務内容の見直しが重要です。

 

出張、外回りなどが多い事業所や部署だと、時短勤務が困難なケースが考えられます。限られた時間内で働けるように担当させる業務や配分調整が必要です。

 

時短勤務利用者の労働時間が減る分、周囲の労働者の負担が大きくなる可能性があります。全ての従業員が働きやすい環境を整えるため、業務全体の見直しをし、不必要な作業の廃止、効率化を図りましょう。

時短勤務を導入するポイント5:改善点を探す

最後に紹介するポイントは、時短勤務導入における改善点の発見です。

 

時短勤務では、「フルタイム勤務のときと仕事量が変わらない」、「責任ある業務を任せてもらえない」といった問題が考えられます。時間が短縮されることで業務に支障が出ないように、可能な範囲で仕事量や権限を見直す必要があります。

 

また、実際に従業員が時短勤務を利用しやすい環境を整えたり制度を改善したりすることが求められます。

時短勤務のメリット4選

時短勤務にはどのようなメリットがあるのでしょうか。

 

労働者にとってメリットはあっても、会社側にはあまりプラスにならないと感じる人も多いのではないでしょうか。短時間勤務制度を上手く活用することで、会社側にとってもメリットがもたらされます。

 

ここでは、時短勤務のメリットを4つ紹介します。

時短勤務のメリット1:ワークライフバランスの充実

時短勤務により、ワークライフバランスが充実します。

 

ワークライフバランスは「仕事と生活の調和」を意味し、「国民一人ひとりがやりがいや充実感を持って働き、家庭や地域生活でもライフステージに応じて様々な生き方を選択できること」をいいます。

 

働き方改革が開始された日本において、ワークライフバランスの実現は重要視されています。時短勤務によって気持ちや生活に余裕が生まれ、仕事と家庭の両立が可能になります。

時短勤務のメリット2:離職率の低下につながる

時短勤務は、離職率の低下に効果的です。

 

フルタイム勤務が難しくなり、やむを得ず退職する人もいます。従業員の離職は、会社の運営や存続に大きな影響を及ぼします。欠員が出た場合は、採用活動や教育に時間やコストが掛かります。

 

業務に精通した従業員を継続雇用することは、会社にとってもプラスになります。時短勤務で労働時間を短縮することで離職を防ぎ、無理なく仕事を続けてもらうことができます。

時短勤務のメリット3:人材の確保

時短勤務は、人材の確保に役立ちます。

 

フルタイム勤務が難しいという理由で意欲や能力のある従業員が離職してしまうのを防止するほか、人事制度が充実していることで企業のイメージアップに繋がります。

 

独自の短時間勤務制度を導入している企業、活用の成功例を調べ、働きやすい環境を整えることが重要です。

時短勤務のメリット4:柔軟に働ける

4つ目に紹介するメリットは、柔軟に働ける点です。

 

時間に余裕が生まれることで、労働者が無理のない範囲で働くことができます。

 

近頃は、テレワークの推奨もあり、時短勤務に限らず柔軟な働き方が注目されています。労働者が抱える事情を考慮し、それぞれのスタイルに合わせた働き方を選択できる環境づくりを目指す企業も増えています。

時短勤務のデメリット3選

時短勤務はメリットばかりではありません。時短勤務が与える影響をしっかりと理解し、それを踏まえた上で利用することが大切です。

 

ここでは、時短勤務のデメリットを3つ紹介します。

時短勤務のデメリット1:給与が減る

1つ目のデメリットは、給与が少なくなる点です。

 

通常よりも労働時間が短くなる分、給与の支給額が減ります。育児・介護休業法では、その分の補償はされません。

 

所定労働時間が8時間の正社員を例に挙げると、時短勤務により6時間働いた場合、働かなかった2時間分については早退扱いで、通常の給与から減額されます。

時短勤務のデメリット2:業務に対する支障

2つ目は、業務に対する支障です。

 

周囲と比べて仕事に掛けられる時間が短い分、業務の充実度が低くなる可能性があります。特に育児休業明けの場合は、ブランクがある中で仕事の感覚を取り戻しながら働くのは大変です。

 

常に忙しくて気持ちに焦りが生まれてしまうこともあるでしょう。業務の優先順位付け、効率化を図りながら限られた時間内で遂行することがポイントです。

時短勤務のデメリット3:有休日数が減る

時短勤務により、有給休暇の付与日数が減る場合があります。

 

時短勤務であっても、週の所定労働日数が5日の場合、有給休暇は従来通り付与されます。しかし、時短勤務により週4日以下・週30時間未満となった場合、勤務日数に応じて有給休暇の付与日数が決まります。

 

また、有給休暇を取得した場合は8時間分ではなく、時間短縮後の6時間分が支払われることになります。

時短勤務を導入するときの注意点5つ

前述により、時短勤務のメリット・デメリットを解説しました。

 

時短勤務を導入するときに、会社側が注意すべきことはあるのでしょうか。

 

時短勤務によって労働時間が短くなることで、通常とは異なる手続きや処理が発生します。法律で定められているものもあり、管理者や人事労務担当者は特に時短勤務への理解が必要です。

 

ここでは、時短勤務導入時の注意点を5つ紹介します。

時短勤務を導入する注意点1:残業代

まず紹介する注意点は、残業代です。

 

時短勤務の適用期間中に残業した場合は、その分の賃金が支払われます。通常、法定労働時間(8時間)を超える場合は、25%以上の割増賃金が発生します。労働時間が法定労働時間内(8時間以下)であれば割増賃金は適用されません。

 

また、育児・介護休業法では、「3歳未満の子供を養育する労働者が請求した場合は時間外労働をさせてはならない」と定められているため、注意が必要です。

時短勤務を導入する注意点2:ボーナス

時短勤務中は、ボーナス(賞与)に影響が出る場合があります。

 

ボーナスは労働基準法による保障がなく、支給するかどうかは会社の判断に委ねられます。そのため、時短勤務中にボーナスがもらえない場合も考えられます。

 

ボーナスがもらえる場合でも、短縮された労働時間で計算されてフルタイム勤務よりも支給額が少なくなる可能性が高いです。

 

また、ボーナスの査定期間中に育児休業を取っていた場合、通常の金額は支給されません。

時短勤務を導入する注意点3:給与の計算方法

時短勤務の場合は、給与の計算方法が変わります。

 

時短勤務適用中の給与は、「基本給(月額) × 実労働時間合計 ÷ 所定労働時間合計」で計算されます。

 

「基本給20万円、1日あたりの労働時間6時間(所定労働時間8時間)、所定労働日数22日」の場合、実労働時間132時間・所定労働時間176時間となり、算定金額は15万円です。

 

実際には、これに保険料、住民税、通勤手当といった諸費用や手当、残業などの計算が加わります。

時短勤務を導入する注意点4:社会保険料

時短勤務の場合は、社会保険料が変わります。

 

社会保険料は、基本給に手当や現物支給を加えた「標準報酬月額」を基に計算されます。時短勤務により給与が減った場合、標準報酬月額の等級が低くなるのに伴って社会保険料も減額されます。

 

また、子供が3歳になるまでは「養育期間の従前標準報酬月額のみなし措置」が適用されます。給与減額によって支払った社会保険料が減った場合でも、将来受け取る年金金額は変わりません。

時短勤務を導入する注意点5:不利益の取り扱い

時短勤務の労働者が不利益な扱いを受けることは育児・介護休業法で禁止されています。

 

時短勤務の申出があった場合、事業主は雇止め(有期雇用の労働者について契約満了時に更新しないこと)や基本給の減額、不遇な異動といった不利益な取り扱いをすることはできません。

 

一日の労働時間が減ることによって働かなかった分の給与が減額されることは不利益の取り扱いに該当しません。

時短勤務を導入しよう!

近年では、働き方改革により労働者の保護や保障を目的とした政策や法令が増えています。各企業でも、労働者が柔軟に働ける職場づくりが求められています。その1つとして、短時間勤務制度における見直しや改善が挙げられます。

 

ただ時短勤務を導入するだけではなく、実際に時短勤務を取りやすい環境を整えること、問題点の洗い出しが重要です。

 

時短勤務への理解を深め、上手に活用しましょう。