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ウェルビーイングとは?日本の企業に必要な理由と導入のメリット5つを紹介

ウェルビーイング(Well-being)とは?

働き方改革、健康経営が注目される中、ウェルビーイング(Well-being)についても関心が寄せられています。健康経営からウェルビーイング経営へ、と謳う企業も増えてきました。しかし、その意味についてはあまりに漠然としているのではないでしょうか。

 

今回はウェルビーイングについて定義や、今必要とされている理由、そしてウェルビーイングを導入するメリットについて説明します。

ウェルビーイングの概念

ウェルビーイングは元を辿ると1946年の世界保健機関(WHO)憲章草案における「健康」を定義する記述の中で用いられました。

 

その中で「健康とは、病気でないとか、弱っていないということではなく、肉体的にも、精神的にも、社会的にもすべてが満たされた状態(Well-being)であることを言います(日本WHO協会訳)」とあります。また、その状態を持続可能で多面的な幸せと捉える考え方もあります。

「健康で幸せであること」

幸せであるとはどういうことでしょうか。ポジティブ心理学者のマーティン・セリグマンはハピネスと持続的幸福(フラーリッシング)とを明確に区別しています。ハピネスとは快活な感じ、元気さや笑顔がイメージであり、つまりは単一的で持続しない瞬間的な幸せです。

 

その一方で、持続的幸福は多面的で、ウェルビーイングの目標とされています。つまりはWHO憲章における健康を目指すことと幸せの追求は符合するのです。

日本の企業にウェルビーイングが必要な理由5つ

企業における深刻な人手不足が進む中、従来企業中心であった考え方が、従業員中心の考え方に変化してきています。

 

人材は企業にとって重要な経営資源であり、彼らの健康、ひいてはウェルビーイングが企業価値や生産性に直結するという意識は、近年「健康経営」という言葉と共に世の中に浸透してきています。

ウェルビーイングが必要な理由1:労働力不足

日本の景気は2012年12月以降回復局面にあり、雇用情勢も着実に改善してきています。つまり、従業員一人一人が自ら望む生き方に沿った豊かで健康的な職業選択を行える時代となりました。

 

今般の新型コロナウイルス感染の流行によるテレワークの急速な拡大など、雇用形態は変革期にあります。

 

一方で少子高齢化を迎え、企業において人手不足は深刻化しています。今まで以上に従業員のウェルビーイングに寄り添った経営が必要な時代となりました。

ウェルビーイングが必要な理由2:組織の健全化

労働安全衛生法において、「事業者は、単にこの法律で定める労働災害の防止のための最低基準を守るだけでなく、快適な職場環境の実現と労働条件の改善を通じて職場における労働者の安全と健康を確保するようにしなければならない。」とあります。

 

正に今、企業においては健康について再考が求められているのです。繰り返しになりますが、人材は企業にとって重要な経営資源なのです。

労働安全衛生法第3条

ウェルビーイングが必要な理由3:従業員の満足度向上

ウェルビーイングに注目した経営は従業員の満足度も向上させます。従業員にとって健康で安心して働ける職場、やりがいのある仕事はまさに「幸福な状態」であり、従業員の満足度や企業へのエンゲージメントの向上が期待できます。

 

また、経済産業省のアンケート調査において、ウェルビーイング経営に対する取り組みが求職者において魅力的に映ると示されています。

ウェルビーイングが必要な理由4:優秀な人材の確保

労働人口の減少により、企業にとって優秀な人材の確保は重要な課題です。終身雇用制が事実上崩壊した昨今において、「自分らしく働ける環境」へとニーズは多様化しています。

 

つまり、会社を選ぶ基準として、給与や社会的認知度だけではなく、自分らしく、快適に、そして長期にわたって心身ともに健やかに働けるか、といった点を重視する人が増加しているのです。

 

離職率を下げ、優秀な人材の確保のためにはそのニーズに応えるべく、ウェルビーイングに配慮した環境作りが必要です。

ウェルビーイングが必要な理由5:働き方の意識改革

日本型の働き方においては、今まで長時間労働を厭わないスタンスが通常でした。しかし従業員が健康で充実した生活を送り、多様な人材を確保するためには、長時間労働を是正し、従業員の健康確保やワーク・ライフ・バランスの実現を図ることが重要です。

 

つまり、従業員のウェルビーイングを目指すことは、働き方改革を推進することにもなるでしょう。

ウェルビーイング導入のメリット5つ

さて、今までウェルビーイングの概念とその必要性について見てきました。ここからはウェルビーイング導入のメリットについて説明していきます。就業面からのウェルビーイングの向上は、企業の経営の効率化及び競争力の確保と相互に影響し合うものと言えます。

ウェルビーイング導入のメリット1:従業員の心身ともに健康な状態を維持

ウェルビーイングの向上はその定義からして、従業員の心身ともに健康な状態を目指します。

 

2018年のジョンソン&ジョンソンの調査研究によれば、健康経営に対する投資1ドルに対して、投資リターンは3ドルとの報告があります。

 

米国の研究では、従業員の健康関連コストの内、プレゼンティーイズム(従業員が職場に出勤しているものの、何らかの健康問題によって業務の効率が落ちている状態)が、医療費よりも遥かに大きいと指摘されています。

 

つまり、健康経営を通じた従業員の健康問題の改善が、企業の生産性や業績の向上につながる可能性があると言えます。

ウェルビーイング導入のメリット2:従業員エンゲージメントを高める

企業が従業員のウェルビーイングに配慮すれば、従業員に仕事へのやりがいが生まれ、結果としてエンゲージメントが高まります。

 

また、従業員個人のウェルビーイング追求において、エンゲージメントは重要な要素です。ポジティブ心理学者のマーティン・セリグマンによれば、ウェルビーイングの構成要素の一つにエンゲージメントと良好な人間関係を上げています。

 

つまりやりがいのある職場では従業員はウェルビーイングな状態であり、そこには高いエンゲージメントがあり、企業・従業員間の関係性も良好となるのです。

ウェルビーイング導入のメリット3:離職率の低下

企業による従業員のウェルビーイング向上を目指す取り組みは、そのまま健康経営に結びつくものです。

 

そして、2020年9月の経済産業省の報告によれば、健康経営度の高い企業(健康経営銘柄、健康経営優良法人)は一般企業よりも離職率が低いことが示されています。(離職率は健康経営銘柄で2.7%、健康経営優良法人で5.1%、全国平均 11.3%)

ウェルビーイング導入のメリット4:従業員のモチベーションを高める

個人のウェルビーイングは企業が提供するだけのものではなく、従業員自身で追求していくものでもあります。

 

ウェルビーイング追求において、ポジティブ心理学者のマーティン・セリグマンのウェルビーイング理論が参考になります。その理論によれば、ウェルビーイングは多元的で、その構成要素に「人生の意味・仕事の意義」「達成」が上げられています。

 

苦境に立たされたとき、必ずしもハピネスな状態ではないかもしれません。しかし、その仕事に高いモチベーションで臨み、意義を見いだし、達成したとき、それはウェルビーイングな状態と言えるのです。

ウェルビーイング導入のメリット5:パフォーマンスの向上

ウェルビーイングの向上は欠勤、プレゼンティーイズムを改善し、個人の生産性、パフォーマンスの向上が見込めます。また、個人の生産性の向上は企業・組織の生産性を高めることから、企業価値、株価の上昇まで期待できるのです。

 

事実、ギャラップ社の調査では、エンゲージメントが高い企業は通常の企業に比較して、EPS(一株当たり当期純利益)が4倍高いとの報告もあります。日本においても今後、定量的に評価する仕組みが作られ始めています。

ウェルビーイングへの取り組み8つ

ここまでウェルビーイングの概念、必要性、導入のメリットについて説明してきました。続いて具体的な取り組みについて8つの点から説明したいと思います。

 

公正な労働条件の下、従業員が自らの希望に応じて働き方を選択できる多様性が確保されることによって、就業面からのウェルビーイングの向上を図ることが重要です。

ウェルビーイングへの取り組み1:コミュニケーションを活性化させる

ポジティブ心理学のウェルビーイング理論によれば、良好な関係性は重要な要素の1つでした。つまり社内において言いたいことが言える環境、コミュニケーションが良好な職場はウェルビーイングに寄与するのです。

 

グーグル社は「心理的安全性」という要素に着目した生産力向上計画「プロジェクト・アリストテレス」を2012年より導入しています。

 

「心理的安全性」とは、対人関係においてリスクのある行動を取った際、それが受容される状態にあることを指します。この達成には良好なコミュニケーションが不可欠です。

ウェルビーイングへの取り組み2:福利厚生の充実と利用促進

日本社宅サービスが行った調査によると、新入社員が企業を選ぶ際のポイントとして賃金に続いて福利厚生が上げられています。つまり、福利厚生の充実は従業員の定着・採用強化において重要な要素です。

 

特に少子高齢化、労働人口の減少が問題になっている昨今においては、育児・介護支援は、今後多様な働き方を実現していく上で重要となってきます。

ウェルビーイングへの取り組み3:ピアボーナスの導入

ピアボーナスとは、仲間や同僚を表す「peer」と報酬を表す「bonus」を組み合わせた言葉です。従業員同士が互いに報酬(ボーナス)を贈り合うことができる仕組みのことを指します。Google社が従業員の評価指標として導入して話題を集めました。

 

この仕組みは社内コミュニケーションの活性化、従業員エンゲージメントの向上、優秀人材の流出を防ぐといった、ウェルビーイング経営と合致する効果が期待できます。

ウェルビーイングへの取り組み4:健康増進活動の推進

2016年に発表された米国商工会議所の「健康と経済」というレポートでは、労働損失(病気による早期退職、欠勤、プレゼンティーイズム)のGDPへの影響を6-8%と報告しています。

 

健康増進活動の推進により、個人、企業、社会の生産性向上が見込まれるため、健康経営への投資は重要視されています。

 

企業の取り組みとして、花王の「健康マイレージ」等があります。

ウェルビーイングへの取り組み5:メンタルヘルス対策

2018年の厚生労働省の調査では、労働者の実に58%が強いストレスを感じていると報告しています。また、メンタルヘルス不調は労働損失、生産性の低下をきたし、重要な課題となっています。

 

そんな中、平成26年の労働安全衛生法改正により、従業員50人以上の事業所においては社員のストレスチェック制度が義務づけられ、近年従業員のメンタルヘルス不調への関心が高まっています。

 

厚生労働省の推奨する4つのケアには、セルフケア、ラインケア(管理監督者による部下のメンタルヘルスケア)、事業場内産業保健スタッフ等によるケア、事業場外資源によるケア(地域の専門医受診等)が掲げられています。

ウェルビーイングへの取り組み6:残業に関するモニタリング

先述のように、日本においては正社員の多くが長時間労働を厭わない職場風土がありました。しかし、労働者のウェルビーイング実現に向けて、労働者の健康確保やワーク・ライフ・バランスを図るため、働き方改革関連法が成立したのは記憶に新しいのではないでしょうか。

 

その中で、時間外労働の上限規則、年次有給休暇の時季指定の仕組みが設けられました。また、労働時間の状況把握の仕組みも新たに導入されています。

ウェルビーイングへの取り組み7:相談窓口開設

メンタルヘルス対策でも触れたように、産業保健スタッフの関わりや、外部資源の活用は、ウェルビーイング向上において重要となります。

 

また、労働者の主体的なキャリア形成の支援も重要です。

 

ライフステージに応じたリカレント教育(生涯にわたって教育と就労のサイクルを繰り返す教育制度で、「学び直し教育」「社会人の学び直し」とも呼ばれています)や、キャリアコンサルティングの重要性について報告されています。

ウェルビーイングへの取り組み8:託児所の設置/h3>

深刻化する人手不足の中で、女性や高齢者等が労働供給の支え手として存在感を高めています。就業者数は人口及び15-64歳人口の減少が続く中にあっても、2012年から2017年の5年間で250万人増加しており、その主な要因が女性や高齢者の就業率の上昇と報告されています。

 

しかしながら、女性や高齢者が十分に活躍できる環境は必ずしも整っておらず、出産等により離職した後の再就職は非正規雇用が中心となっているのが現状です。

 

就業を希望しつつもすぐに就業できないとされる者は約200万人程度存在するとされ、その主な理由として「出産・育児のため」が半分を占めています。多様な働き方を推進し、ウェルビーイングの向上を目指す上で、託児所の設置は効果的です。

ウェルビーイングを推進し従業員の幸福度を高めよう

いまや時代の潮流は従業員の心身の健康を維持する「健康経営」から、従業員の持続的幸福を目指す「ウェルビーイング経営」へと進みつつあります。

 

健康経営への投資と同じく、ウェルビーイング経営への投資は、従業員の仕事へのやりがい、組織へのエンゲージメント、生産性を向上させることから、結果的に企業の生産性向上へとつながり、組織・企業のウェルビーイング向上を実現するものです。

 

まずは取り組み事例を参考に、明日からウェルビーイング経営への第一歩を踏み出してみましょう。